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餡餅さま宅「AM5:50」さまにてカウンターフリリク企画があり、リクエストをいたしました。
リク内容は「カツマリで、自分でも不思議に思うくらい教官を欲しくなるカーツさん×そんなカーツさんを(なにかあったのかな?)って心配しつつも優しく受け止める教官」

つづきに、餡餅さま作、静かに滾る深い愛情に満ち溢れた小説です。
裏作品です。閲覧の際はご注意ください。


優しくしたい(カツマリ)






枯れているわけではない。
けれど溢れてくるわけでもない
覗き込んでも黒しか目に入らぬような深い深い井戸の底、あるのだと確認しなければそれが当たり前のことになってしまって 一体どうしてそこに水があるのかなど考えることもしなくなる。

もっと掘り下げれば水は溢れてくるのだろうか
そもそもどうして水があるのか
己に問いかけ、例え答えが出てきたとて自分に都合のいい理由でしかない
人を好きになると言うことはそれと大差はないと思うのだ
だからカーツはどうしてマリクが好きなのか、深く深く考えることはしない
好きだということに理由などいるのだろうか
深い暗い底を覗き込んだとしても、そんなものは黒で塗りつぶされて正体など現さないというのに

では

どうして理由もわからずに、突然溢れてくるのか。
愛しい 恋しい 考えないようにしていても、気持ちは突然抑えられなくなってしまう
マリクがそこにいたとしても、いなかったとしても、一瞬でも脳裏を掠めた瞬間に魔でもさしたかのようにとめどなくあふれ出してくることがある
突然やってくる心の乱れに、どうしていいかわからなくなって ただ自分のものにしたくなって




「カー、ツ?」


抱きしめた。
困惑を表す声の主はこの行動を取る直前オレンジのほのあかるいライトに照らされ、人のベッドに寝転がり当たり前のように本を読みながら足をぱたぱたと動かしていた
それを見ただけだ なのに糸も簡単に何かが外れた そして湧いて出た
名前を呼ぶとびくりと肩を跳ね上がらせ「はいはい退きますよ」なんて憎たらしげな声色で返事をしたというのに、どこに惹かれたのか何がなんだか分からない
ただ自分がそこにありたかった、それだけなのか

突然抱きしめられてわけが分からないらしいマリクはしばらく慌てたように、手をばたばたと動かして、それでも引き離そうとはせずに戸惑っている。
真正面から腰に手を回して、もう片方の手で頭を己のもとに引き寄せるように、首筋近くに顔をうずめてみれば欲しい気持ちがどうしても膨らんだ。
こんなに近くにあっても膨らむのか――――鼻腔をくすぐる石鹸の香りが膨張に拍車をかけているような気がする


「マリク、」

「う、ん?」

「貰っていいか。」

「……何だ、ベッドか。本か、」


オレンジ色に照らし出された金を指の間に絡め取って、髪を梳くようになでる
声だけはどこか落ち着いて、あまりにも簡潔すぎる質問に意図を探るような様子の彼の耳が至近距離で赤くなっていくのを見ると、返事を待つのさえまどろこっしいと感じてしまう
赤く熟れておいしそうな耳、我慢せず口に含んでみると肩がびくりと跳ねた
同時驚いたような焦ったような声が小さく漏れて、耐えるようにこぼれた吐息が自分の肩を撫でる

こうなるといよいよ欲しくなってしまう
舌で耳の端をなぞるように、ぴたりと唇を耳の中に息を吹き込むように密接させてみると、背に熱と重力がまわってくる
そこからのびた10本が引っかかるように力を入れてくるとそれだけで、たまらない
そのまま、楽な姿勢になるように前に倒した
大きな背中がぶつかった空気をシーツに挟み、押しのけて 髪が柔らかく白に広がっていく


「お前を貰ってもいいか」


瞼を下ろし、脳に直接語りかけるような囁き
ゆっくりと姿勢を上げて、彼を見下ろすようにしてみれば耳と同じように頬を赤く染めた彼は視線を泳がせ、どこを見ているのか俯きがちに固定させた
きっと目も合わせられないほど、獣のような目をしているのだろう

恥かしいことに優しくしようとすればするほど、どうしてよいのかわからなくなってしまう
今、欲しいというどうしようもない感情が読み取れるほどの表情を向けることしかできないから、彼の顔を真正面から見ることもダメかと思うが目は縫いとめられたようにそこから動くことが出来ない
いつもはそんなことはないというのに 彼以外はこんな気持ち覚えたこともない

自分が彼を覆うようにしているから、影が掛かり右から差し込むオレンジは彼の右目だけを明るく映し出していた。


「嫌なら」


無理しなくていい。
嫌がる人間をどうこうしてしまうほど心までもが獣にはなりきれないのだから
中途半端な優しさが優しい彼を傷つけるのだけは耐えられない。
だが、続く言葉は背に回った力が遮った
自分を支えていた腕が体勢を崩して、こつんと軽く音を残して額と額が合わさる


「嫌じゃない。」


金色が真っ直ぐに、視線を射抜いた瞬間 せき止めていた蓋が
空中に大きく弧を描いて吹っ飛んでいく。

スカーン、と子気味良い音が胸のうちで響いたかと思うと、照れたように笑ったマリクの表情はその音にエコーを掛けさせたのだ。
冗談のような表現だが、それ以外にあらわしようもない。
いいと言われると疑うように眉間に力がぐっとはいる 


「欲しいといったのはお前だろうになんだその顔は」

「すまない」


謝るほかない。
だが手が一緒に勝手に出てきてシャツの上からよく知った突起の位置をなぞっている


「謝るなよ。なんか変だぞ、んっ、おい話の途中だろ。色々と矛盾してるじゃないか」

「すまない」

「すまないすまないって、お前なんでそんな、ぁ、あっ!う、んっ、まだっ 喋ってるだ、ろ…ふぁっん、む…ぅ」


口を口で塞いでしまうと、突然空気の入り口が閉じられたために息の詰まるような声が漏れ出る
触れるだけの感触がやわらかく、気持ちを急きたてていくかのようだ
焦りにも似たその感覚が触れた部分を通して伝わったのだろうか
初めのうちは見開いていた目を閉じて、迎え入れるように薄く口を開く
そろりと舌を滑り込ませるとやわやわと彼の舌が応えるように絡んできて、やさしく絡め返した


「ん、ふ……ぅん…っ!ん、んんっ」


シャツを下からたくし上げて胸の上で止め、じかに胸にふれてみる
腕を掴んで止めようとするも力が入らないらしく、構わずに少しきつく突起を潰して見ると鼻から抜けるような甘い声が間近で脳をしびれさせた
わざと唾液を流し込むように、苦しそうな声が漏れれば隙間を作って。
どうしてこうも水の音というのは彼の声と合わさると、急きたてられるのか
いつまでそうしていたか、いつもより長い間絡めていた口を離してみれば上気した頬と酸素を求めるように半開きにされた唇と荒い呼吸、苦しそうにおろした瞼と涙にぬれた長めのまつげが視覚に強い衝撃を与える

くらくらしそうなほど熱に浮かされて、しつこく責め続けていたピンク色の乳首から指を離した
赤く、ぷくりと膨れ上がっている

さてどうしようか。

体の動くままに委ねてしまえばいくらでも行動を起こすことはできるのだが 自分が求めている以上は優しくしてやりたいのだ
何も考えずに触れてしまうと、普段彼が求めて来た時の様に苛める様に攻め立ててしまうのではないかと 不安がカーツの手を止めた


「…っ、カーツ…?どうかしたか」

「…ああ」


薄く瞼を開いた隙間から見える瞳が不思議そうにこちらを見ている。
いつもならすぐにでも苛めるような触れ方をするからなのか、拍子が抜けたような感覚がしたのだろう
こういう時、カーツはなんと答えていいかわからない。
優しくするなど普通のことなのに、どうすれば優しいかが分からないから手を出せないのだと そんなことを言うのもなんだか気恥ずかしく、困ったような表情を見せるとマリクは何を考えているのか読み取れない視線を向けて掴みっぱなしにしていた腕を、カーツの手の平を己の胸元に添えさせた。


「遠慮してるのか?確かにお前から求めてくるなんて珍しいが……、いや、もしかしてそれほど気が進まないのにしばらく会っていなかったからオレが寂しがってるんじゃないかと思ってこんな」

「優しくしたい」


勘違いされるより素直に言った方がマシだと勝手に口が動いた。
簡潔な言葉に居心地が悪くて、肌に触れている手を 指先を心臓をかたどるように軽く立てる


「今日は痛い抱き方をしたくはない。…乱暴にしたくないんだ」


爪を立てないように、指の腹で強く押すと爪の先の色は白っぽくなる
目を見ることも出来ずそれをただ見つめていると  この空気には似つかわしくない明るい雰囲気の声が響いた
それと同じくしてカラカラと笑うような声も混じる


「なんだそんなことか。」

「…どういうことだ」

「お前は変なところ頑固というか、固いというか…普段の方がよっぽど砕けてるんじゃないのか?ああ、怒るなよ。オレはいつも通りのお前でも気にしないと言いたいんだ。いつも優しいからな」


こいつはいつものアレを優しいと思っているのか。
当然だという表情に軽く呆れた表情を見せると、ムッとして頭を掴んで露になった胸元に引き寄せられる。
さしたる抵抗もできず腕力のままに体を任せると額がべたんと胸の出っ張りに押し付けられる
いつもの無駄な胸の筋肉が恨めしいのとしかし見た目には嫌いではない複雑な感情が一瞬、マッチに火をともしたかのように明るくなった

石鹸の香りはとても近い。
底なしから湧き上がるその気持ち とめどなく 溢れるように


「いつも痛い痛いと言うくせに何を強がるんだお前は」

「ならいつも痛い痛い言わせるくせに突然なにを言い出すんだよお前は。それに、オレが本当に嫌がっているかどうかお前だってわかっててやってるんだろう。でなければお前なんかとっくに嫌いになってるだろうな」

「なるほど、ではいつも痛いと言っているのは実のところ嫌ではない ということか。いい事を聞いたな」

「知ってて聞くお前は本当に性格悪い。」


笑いながら言う台詞ではあるまい。
わきでてくる気持ちは――――もう最初のような重苦しさはなかった。
何なのか得体の知れないものというそれではなくなったから、どうしてこんな気持ちになるのかが漠然と分かったからなのかもしれない。


「お前のしたいようにすればいい。痛かったら言うよ」

「聞こえなかったら?」

「その時はその時だ。殴ってでも気づかせてやる」

「なら倍返ししなくてもいいように、とびきり気持ちよくしてやる」


お手柔らかに頼む。そう言って笑ったマリクの胸元に、カーツは優しく口付けを落とす
心の底から好きだと感じ、どうしても欲しくなったから どんなに優しくしても最終的に泣かせることになってしまったのだけれども。

翌朝いつもの調子を取り戻したカーツにもう一回戦を強制的にされたマリクは「やっぱり優しいだなんて言うんじゃなかった」と少しだけ戸惑ったとか。



餡餅さま、ステキな小説をありがとうございました!
初展示<2011/02/17>

2013.02.08 
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